特別な振袖~大島紬~

振袖

梅雨入りを果たしましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか?

 

気温も湿度も高い日が続き、体調が思わしくない方もいらっしゃることと思いますが、夏までもう少しです。

今年はお祭りやイベントもたくさん開催されるようなので、お互いに頑張っていきましょう!

 

さて、こんな天気だからでしょうか、春の賑やかな振袖の内覧とは違って、近頃は時間をかけてゆっくり振袖を吟味される方が多いように感じます。

 

そんな中、先日、出身が奄美大島なので、普通の振袖を着るかは分からないのですが……というお嬢様とご縁があり、お話をお伺いする機会ができました。

 

『普通』と『普通ではない』振袖とはどういったものなのでしょうか。

 

興味深いお話だったので、皆様にもご紹介いたしますね。

 

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染めの着物と織りの着物

通常、留袖や訪問着・振袖は染めの着物です。

染めの着物とは、生糸で白生地を織り、後から色を染めた着物のことです。

(後染め)

 

細くなめらかな生糸で織りあげた生地は薄くて柔らかく、光沢があります。

 

織り方によって綸子(りんず)、縮緬(ちりめん)などさまざまな質感の生地になり、振袖には地紋と呼ばれる美しい模様を織り出すこともあります。

 

生地ができた後、染めていきますが、そちらの技法は有名なものも幾つかあるのでご存知の方もいるかもしれません。

 

手書き友禅・絞り・小紋などは染めの着物としてよく知られています。

 

染めの着物には、もちろんカジュアル着もありますが、留袖・訪問着・振袖など格式のある場に着ていく着物は必ずといって言いほど染めの着物となります。

 

さて、一方、染めの着物に対して、織りの着物があります。

 

染めの着物とは逆に、糸を染めてから模様を織り出した生地で仕立てた着物を、織りの着物(先染め)といいます。

 

紬(つむぎ)・御召(おめし)・綿やウールが織りの着物です。

 

織りの着物の中では御召(おめし)が最も格上とはなりますが、基本的には式典等の格式高い場には不向きとされています。

 

着物の『格』と言われてもよく分からないかもしれませんが、言い換えると『TPO』のようなものです。

 

洋服でも、式典や披露宴、友達と買い物に行くその時々でTPOに応じて相応しいものを選びますが、着物も同じです。

 

ちょっとそこまで買い物に行くような服装で結婚式には出席できないですよね。

 

まとめると、染めの着物の方が格が高く、式などに出席する時に着用するもの。

 

織りの着物はカジュアルなお洒落着や街着として、一般的に鑑賞会や食事会などに着用するものです。

 

 

紬とは

ここで、ブログ冒頭に登場したお嬢様のお話に戻ります。

 

普通なら、振袖は染めの着物となりますが、彼女によると地元では紬の振袖を着ることもあるそうです。

 

ここまでの説明だと、紬の格はカジュアル着となり、未婚女性の第一礼装である振袖には適さないはずなのですが、これにはお嬢様の出身地が関係してきます。

 

皆さんは『大島紬』という名前を聞いたことがあるでしょうか?

 

紬の中でも大変有名なので、おばあ様やお母様くらいの年代の方でしたら一度は聞いたことがあるかもしれません。

 

は、全国各地で織られる織りの着物の代表格です。

 

生産地によって風合いが異なり、一口に紬といっても手触りなど特色が全く違ってくる面白い着物です。

 

国内、海外にも愛好家がたくさんいらっしゃいます。

 

紬は、もともとは出荷できないくず繭を使って織られた庶民の日常着でしたが、現在では作り手の減少により希少価値が高まりました。

 

また、街着といっても、紬を作る職人の技術は大変な研鑽を重ね、熟練されたもので、質は決して格式高い着物に劣るものではありません。

 

近年では紬でありながら、後染めの洗練された訪問着なども作られるようになり、用途や着ていく場所の幅も広くなっているようです。

 

結城紬

結城紬は、紬ファンには特に人気があります。

 

産地は茨城県結城市から栃木県小山市の鬼怒川沿いで、その歴史は奈良時代まで遡ることができます。

 

結城紬の糸は「手紡ぎ」という真綿から手で紡いだ糸を使うため、柔らかくてふっくらとした生地ができ、身体に馴染んで着心地がよいという特徴があります。

 

2010年には、ユネスコの無形文化遺産に指定され、世界にも認められました。

 

牛首紬

牛首紬は、丈夫な事で有名ですね。

 

北陸の石川県の旧牛首村を中心に生産されている紬です。

 

紬独特の小節を持ちながら、絹のような光沢のある風合いが特徴で、丹念に織られるため『釘抜き紬」とも呼ばれました。

 

これは『釘を引っ掛けても破れず、反対に釘を抜いてしまうほど堅牢な紬』という意味です。

 

近年は、白地の牛首紬に加賀友禅を染め出したものもあります。

これが『後染めの紬』ですね。

 

大島紬

大島紬の産地は鹿児島県です。

 

奄美大島で7世紀頃に織りはじめられたといわれています。

 

明治初期に「泥染め」という手法が考案され、大島特有の独特の艶のある美しい黒色があらわれるようになりました。

 

また、泥染めした糸はシワになりにくく、汚れにくく、虫も付きにくいという特徴があり、人気が出ました。

 

この結城紬・牛首紬・大島紬が日本三大紬と言われています。

 

お話ししてくださったお嬢さまによると、奄美大島では、慶事には大島紬を着用する習慣があるそうです。

 

そのため、もしかすると成人式には普通の(染めの)振袖ではなく、大島紬の振袖を着るかもしれないとのことでした。

 

島では、昔はおばあ様やお母様が、娘の大切な成人の節目にと晴れ着の振袖を何年もかけて織って用意していたとお聞きしたことがあります。

 

大島紬を単なる着物の格として位置づけるのではなく、先祖代々から受け継がれた大切な想いとして受け取れるというのは、とても素敵なことですね。

 

 

まとめ

織りの振袖は紬だけなのかと気になって調べてみたところ、最近では綿や銘仙の振袖もあるようです。

 

軽くて暖かい綿は、重量のある振袖よりも軽やかに身に纏えるのだとか。

お写真を拝見したところ、柄行も可愛らしくて素敵でした。

 

銘仙も独特の風合いがアンティーク雰囲気を感じさせる人気の着物です。

 

時代も進み、『振袖はこうあるべき』という固定概念は一新されつつあるようです。

 

なかの座には、おばあ様・お母様から受け継がれた振袖を小物を変えて今風にコーディネートできるママ振りプランもご用意しておりますので、大島紬のお嬢様に限らず、皆様ぜひご相談くださいね。

 

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