どうして高い振袖は高いの? “一生ものの価値”を生む職人技の世界

絞り 振袖

はじめに:「振袖って、どうしてこんなに高いの?」

振袖選びをする際、多くの方がまず驚くのが「価格」です。

レンタルで10万円前後、購入となると数十万円から100万円を超えるものまで。

中には「これ、結婚式のドレスより高くない?」と感じる方もいるかもしれません。

でも、ちょっと待ってください。

この“高い”には、実は明確な理由があります。そしてその理由を知ることで

ただの「高い着物」が、「一生に一度の価値を宿す一着」へと変わるのです。

今回は、振袖に使われる生地や染め、仕立ての方法を“振袖初心者”にも伝わるように

丁寧に説明しながら、なぜ高額になるのか、その秘密を解き明かしていきます。

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1. 素材の違いが、見た目も着心地も変える:正絹の底力

「化学繊維」と「正絹」の違いは “空気のような質感”

まず、振袖の価格に大きく影響するのが生地の素材です。

よくあるレンタル振袖の多くはポリエステルなどの化学繊維で作られています。

一方、高価な振袖には「正絹(しょうけん)」という本物の絹が使われています。

正絹の特徴は、ひとことで言えば「しっとりとしたぬめり感と、ふわっとした軽さ」。

まるで空気をまとっているような、他では味わえない着心地です。

さらに、光の当たり方で色の表情が変わる「玉虫効果」と呼ばれる光沢があり

写真や実物で見ると一目でわかる上品な華やかさを持ちます。

正絹の糸は、蚕が生み出す天然繊維。その製造過程には大量の時間と手間がかかります。

だからこそ、1反(着物1着分)の布にかかるコストは当然高くなります。

2. 「白い布」から命を吹き込む:染めの世界

何色もの重ね染めで生まれる“深み”と“奥行き”

振袖の色柄は、すべて白い布から始まります。そこに染料を一色ずつ

何度も何度も重ねていくことで、奥行きのある色彩が生まれます。

この工程には、大きく分けて2つの流派があります。

手描き友禅(てがきゆうぜん)

職人が筆を使い、下絵を描くように一点一点模様を描いていく手法です。

これはまさに“絵画”のような作業。たとえば一枚の花びらにも

5〜6色のグラデーションを使うことも珍しくありません。

また、染料がにじまないように「糸目(いとめ)」と呼ばれる

防染糊を細い線で置いていく必要があります。これもすべて手作業。

一反仕上げるのに3〜6ヶ月以上かかることもあります。

手書き 友禅 染め 着物 振袖

型友禅(かたゆうぜん)

型紙を使って染める技術。手描きより効率的に見えますが

型紙も手作りで、細かい模様ほど精密な技術が求められます。

どちらの技法も、単に「色をのせる」だけではありません。

染めた後の蒸し、洗い、乾燥など、自然と向き合う工程が多く

天気にも左右されるのです。

型付け 着物 染め 振袖

3. 世界に一つの立体感:絞り加工の魔法]

絞り 振袖

「絞る」って、こんなに緻密な作業だった

振袖の中には、「絞り染め(しぼりぞめ)」と呼ばれる技法が使われているものがあります。

これは布を糸で縛ったり、つまんだりして染料が入らないようにし、模様を作る技術。

とても日本らしい風合いと、独特の凹凸が生まれます。

絞り 着物 振袖 

中でも代表的なのが、「鹿の子絞り(かのこしぼり)」。

1枚の振袖を完成させるのに、数ヶ月〜半年以上かけて

「糸で結び続ける」 という気の遠くなる作業が必要なのです。

これを手がける職人は年々減っており、今や非常に貴重な存在。

だからこそ、絞りが入った振袖は、見る人が見れば

すぐに価値がわかる“伝統の証”なのです。

4. 見えないところにも手間が宿る:裏地・仕立て・縫製

裏地の選び方一つで、着心地も印象も変わります

振袖の「裏側」を見たことありますか?

実は、高級な振袖ほど裏地にも良い素材が使われています。

重ね襟(伊達襟)や八掛(はっかけ)と呼ばれる裾部分の

裏地の色・素材・縫い方にもこだわりが詰まっています。

これらは、着たときのバランスや動きに大きく影響し

裾の揺れ方や全体のシルエットを美しく見せてくれます。

ミリ単位の職人仕事:和裁士の手縫い技術

高価な振袖は、専門の縫い手による手縫い仕立てです。

洋服のミシン縫いとは違い

和裁は「一針一針の締め方」「糸の太さ」「布のゆるみ」まで考えられています。

振袖は直線縫いが基本ですが、それだけに“人の感覚”が試される世界。

実は、この“縫い代”の工夫によって、体型が変わってもお直しできるようになっているんです。

つまり、娘から孫へと着継ぐことを想定して作られているのです。

5. 「デザイン」ではなく「作品」:作家物・一点物の価値

美術品に近い存在、それが高級振袖

中には、著名な染織作家がプロデュースした“作家物”の振袖もあります。

これらは一点もの、あるいは限定数だけ作られるため

美術品と同じく希少価値があります。

作家物の特徴は、色彩・柄・構図に“物語”があること。

たとえば、桜が散る様子、雪と椿、日本独自の「季節感」や「余白の美」を反映しています。

それは単なる“オシャレ”とは違い、日本人としての美意識を呼び覚ますようなデザイン。

だからこそ、一度見たら忘れられない印象を残すのです。

6. 結論:高い振袖は、決して「贅沢品」ではない

振袖に限らず、「高いもの」には往々にして理由があります。

ただし、それが“価格に見合う価値を持っているか”は

知識がなければ判断しにくいものです。しかし、振袖の世界ではその価値は明確です。

○天然素材の絹が生む美しい光沢

○職人が数ヶ月かけて染める色と柄

○一粒一粒結んだ絞りの立体感

○手縫いで仕上げられる、未来へ続く伝統ファッション

○芸術作品としてのデザインの奥深さ

これらすべてが重なって、1枚の振袖に“人生を彩る力”が宿るのです。

おわりに:知れば知るほど、選びたくなる一着

「振袖ってよくわからないから…」とレンタルや安価なものを選ぶのは

確かに手軽で賢い選択肢かもしれません。

でも、こうしてその背景にある技術や想いを知ることで、「なぜ高いのか」だけでなく

「どうしてこれが特別なのか」も、きっと感じられるはずです。

もしかしたら、一生に一度の大切な日に選ぶのは、ただの衣装ではなく

日本の伝統と職人の誇りが宿る一枚の作品かもしれません。

今回は高級振袖の価格のなぞについてご紹介しました。

大分市のなかの座/咲くらKANは、モダンなデザインの最新振袖から

伝統的な古典柄の人気振袖まで豊富に取り揃えています。

レンタル、ご購入、ママ振袖、各種メニューをご用意しておりますので

お気兼ねなく何でもご相談ください。

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なかの座 咲くらKANは、大分駅から徒歩5分の場所に店舗を構える大型振袖専門店です。

大分市だけでなく、別府市、佐伯市、臼杵市、津久見市、杵築市、宇佐市、由布市など

大分県全域から多くのお客様にご愛顧いただいております。

地元で75年以上続く呉服店であるからこその安心感、県内一の豊富な品揃えで

これまで大分の和装文化に寄り添ってまいりました。

これからも大分県の地域一番店を目指し、みなさまの特別な一日を

黒子となって陰ながらお手伝いさせていただきます。

お着物に関することなら、何でもお気軽にご相談ください。

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ご来店の完全予約制、入店時のマスクの着用・手指のアルコール消毒などにご協力いただいております。

館内の消毒も徹底しておりますのでご安心ください。

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検討されている方はお早めにご連絡ください。